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「カフェ。8」

「カフェ。8」ミロカミュ氷河です。
続きへ。

BLダメな方、この続きはだめだと想った方は開かないで下さいね・・・。
氷河18

「カフェ。8」

「手首紅くなってるし腫れてる」
絨毯に座って氷河の左手を見ていると、痛むのか時々氷河が顔をしかめる。
まさか本当に使うことになるとは思わなかった、一応念のため、と思って買った湿布と包帯を取り出し、湿布を張って、包帯を軽く巻いて、カミュは言った。
「キッチンで待てる? 電話出来なくてごめん、サンドウィッチが食べたいってメールしたんだけど、氷河もサンドウィッチで構わない?」
「メール?」
「届いてない?」
カミュが聞くと、氷河は申し訳なさそうに答えた。
「あの、お昼休憩の間しか電源入れなかったから、ちゃんと届いてると思う……」
「なるほど、やっぱり嘘つきだと思われたわけだ」
カミュが苦笑すれば、氷河は首を横に振った。
「違うよ、もうカミュから連絡ないと思ったから……」
「どうして?」
カミュが振り返れば、氷河は俯いた。
「カミュ、ミロの所に帰るんだよって、行ってたから……」
「じゃあアルバイト先にも迎えに行くと思ってなかった?」
「うん……」
言葉があっても、すれ違う事ってあるんだな、カミュはそんなことを考えた。
嘘吐き。
「カミュ」
「ん?」
氷河が呼ぶから、カミュはもう一度振り返った。
「ミロに、好きって聞いたら、どうでもいいって言われて、カミュと何回もSEXしたけどそれでも好き?って聞いたら、話があるからとにかく帰れって、やっぱり、ミロの所に帰らないとダメ?」
カミュはそれを聞いて絶句した。
「何でSEXしたなんて言ったの」
自分は言ってしまったけど売り言葉に買い言葉だと言えば済む話だったはずなのに。
「そしたら、嫌いって言われたら、カミュ帰らなくてもいいって言うかな、と思って……」
「ミロはちゃんと氷河が好きだって言ってるだろう、どうしてそんなに……」
カミュが言い終らないうちに氷河の声がした。
「サンドウィッチいらない、カミュの馬鹿!」
ちょっと言われると思ってなかった言葉にカミュが振り返ると、氷河は電気を消してしまって暗闇に隠れてしまった。
「氷河?」
泣き声がするから、わざわざ氷河掛けした電気を付けるのもな、と思ってカミュは絨毯かベッドだろうと思ってゆっくり暗闇を歩く。
いっつもみたいに絨毯に座り込んでいるらしい氷河に気付いて、カミュは隣に座った。
「氷河」
頭を撫でると、氷河は泣き声で言った。
「やり逃げ」
カミュは顔をしかめる。
「何処でそんな言葉覚えて来るんだ」
まあやるだけやってミロの所に帰れって言うんだからやり逃げか、とカミュは想う。
カミュは氷河の真正面に行き、氷河の脇に手を入れて膝の上に氷河を座らせて抱き締める。
「ミロが好きだろう?」
「カミュが好き」
氷河に好きって言って貰うのは心地いいけど。
「友達じゃなくて……」
「友達じゃなくてカミュが好き」
カミュはちょっと氷河の言った言葉が理解できないでいた。
「いつから?」
「週末一緒に居た時から」
あまりに短い期間にカミュは氷河を宥める。
「寂しかっただけだろう? ミロはちゃんと氷河が好きだから」
「じゃあ帰る」
氷河はふい、とカミュの腕の中から抜け出した。
ちくり、と胸が痛む。
玄関が開いて氷河の影が見えたから、カミュは立ち上がる。
「氷河、こんな時間に出歩いたらダメだって」
玄関の扉を開けると、氷河がに階段向かって歩いていく姿が見えた。
「氷河」
やっと氷河が振り返って、カミュがほっとすると、氷河の切ない声が聞こえた。
「さよなら」
延ばした手は、届くはずがなかった。
スロウモーション。
氷河は階段から脚を滑らせた、多分、わざと。
鈍い音がして、カミュは氷河が倒れているのを見下ろしてテーヴルに放っておいた携帯を取って電話をしながら階段を駆け下りた。

勿論、ミロにも電話をした。
ミロもすぐやって来て、一晩中、二人真っ白い壁に寄り掛かってぽつりぽつり、話をした。
「お前、あいつが情緒不安定なの、気付いてたのか」
「……連れ出した日に。考え過ぎだろうと思ったけど」
2人の声はしんとした病棟にひどく響く。
「……お前が手ぇ出したんだからお前面倒見てやれよ」
「ミロ?」
ミロが氷河を投げ出すことはない、不器用なミロの言葉に感情の揺れを感じて、カミュはミロの方へ顔を向けた。
「仕方ないだろう、バイト先まで迎えに行ったときお前も見たろう? お前のところへ帰ることしか言わないんだ、それに車道を飛び出すくらいなんだ」
ミロはそこで言葉を切った。
「……たった一言が、俺には言えなかったんだ」

氷河の意識は戻らないまま、その間カミュは氷河を見詰めていろんなことを思い出した。
朝、目が覚めた時、氷河の方が先に起きていた。
自分の都合のいい夢だろうと思って想い出さないままでいた。
カミュ、大好き、氷河の声が聞こえて、柔らかい唇が何度か触れた。

ミロも毎日やって来て、二人、何を話すでもなく、氷河を挟んで長い時間を過ごした。
窓の外には、時々雪が舞うようになった。

「記憶に障害が残る可能性が高いですね」
主治医のムウから説明を受けたカミュは、聞いた。
「どのくらいの?」
「さあ、それは氷河が目を覚ましてから出ないと解りませんが、軽くはないと思います」
「……そうですか」
氷河の情緒不安定さに不安を覚えたのはこんな可能性を考えたからだ。
失うのが怖くて、その考えを打ち消した。
学生時代、専攻ではなかったがとにかく知識が欲しかったミロとカミュは、専攻外のものも専門書を読んだり、学部の違う生徒から教科書やノートを借りてとにかくありとあらゆる知識を叩きこんだ。
ムウから専門書を借りて、理解できない所はムウに説明して貰ったこともあった。
だから、軽く一通りに知識は持っていたはずだった。
鎮静作用のあるホットミルクも、その一つだ。

雪の舞う日、氷河はゆっくり瞳を開けて、ミロとカミュの顔を見て、二人の名を呼んだ。
「ミロ? カミュ?」
氷河の言葉はそこで途切れた。
「ミロとカミュは、ぼくの、友達?」
氷河にはミロとカミュの名前以外なんの記憶もなかった。

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