NOIR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

「ホワイトデイ。1」

「ホワイトデイ。1」ミロ×氷河
続きへ。

BL苦手な方は開かないで下さいね・・・。
ミロ9

「ホワイトデイ。1」

「ホワイトデイねえ……」
ミロは溜息を吐いた。
職場の女の子たちに返さないのは毎年の事だけど、ついさっきカミュに忠告されてしまった。
「氷河には返すんだろうな? そのうち振られるぞ」
振られる。
それが一番引っ掛かったのも事実なんだけど、確かになあ、といろいろ思わんでもない。
ヴァレンタインデイには山のようにチョコレートを持って帰って、捨てもせずに食べて、氷河が作ってくれたチョコレートケーキもぺろっと食べて、その時もカミュに散々文句を言われたのだ、無神経だとか、氷河が可哀想だとか、別に氷河がカミュに愚痴をこぼしたわけではないとは言っていたけれど、普通に考えて無神経すぎるんだよ、とカミュにため息を吐かれた。
一緒に出掛けて服は買ったりするけど、肝心のものは渡してないもんな、と思う、解ってるんだけど。
じゃ、ホワイトデーにそれを渡すかというと、わたすのはホワイトデイじゃないだろう、と思ってしまう、誕生日とか、とミロはとっくに過ぎてしまった氷河の誕生日を想ってもう一度溜息を吐いた。
セーターとシャツ、は喜んではいたけどね。
氷河は欲しいと言わないからつい知らんぷりをしてしまう、男だからかな、と都合のいい言い訳を考えたりする。
そんな事は多分ないんだと思う、遊んでた相手はみんな欲しがってたしなあ、とミロは思いだして、氷河はあいつらとは違う、とつい首を横に振ってしまった。
違うから、好きになったんだろ。
じゃ、何を返せばいいんだろう、氷河は甘いものは食べないし、何を買っても喜ぶのもちょっと困ったもんだ、ミロは電話して聞いてみるか、とナンバーを表示させて、ナンバーを消してメール画面にした、ホワイトデイだから、とか口が裂けても言えない。
「何か欲しいもんあるか?」
ミロがメールを打てば、少ししてすぐ返信が来た。
「玉ねぎと人参があんまりないよ」
「誰が食材の話をしてるんだよ!」
ミロは思わず携帯を放り投げそうになって顔をしかめてちょっと考えてメールを打つ。
「食材じゃなくて。それも解ったけど、お前が欲しいもんが何かあるのかって聞いてる」
「あ、歯磨き粉がないんだった!」
こいつ解ってやってんのか、とミロは顔をしかめる。
「それも解ったから、服とか、何かあるだろう」
「服?」
「何でもいいけど、プレゼントされたいなあ、みたいなものを言えよ」
何でここまで言わなくちゃいけないんだ、とミロは思う。
「プレゼント?」
ミロは根負けしてついに電話を掛ける。
「お前ね、いいから欲しいもんなんでもいいから言え」
「……思い付かないよ」
困ったような氷河の声に、ミロは今日だけは怒ったらダメだ、と自分に言い聞かせる。
「お前もの欲しがらないなあ」
ミロが呆れたように言えば、氷河は笑う。
「ミロ、いっつも買ってくれるじゃないか、服もいっぱい買って貰ったよ」
あれでいっぱい、ミロはちょっと何とも言えない気持ちになる、遊んでた相手には欲しがるからブランド品のバッグだとかも買ったこともある、別に貢ぐ気じゃなくて、言ってみれば手切れ金みたいなもんだったんだけど、金額から言えば、氷河に買ってやったものははるかに及ばない、服だって、氷河が言う程かってやってはないと思う。
「とにかく、電話切るまでに考えろ」
ミロが言えば、氷河は困ったように言った。
「……パンツが欲しいんだけど、それは自分で買うから違うよね」
ミロは大きく溜息を吐いた。
「パンツなら買って帰ってやろうか? シンプルな感じのがいいんだろ?」
何だか話がずれて来てる、と思いながらミロは聞く。
「ホント? 変なのかってこない?」
「何だよ、変なのって」
「ビキニみたいなのとブリーフじゃなかったら何でもいい」
「うん? 解った」
何となく話をそらされた気がしたな、と思ったら、氷河が夕飯は何がいいかとか聞くから、そっちに気が行ってしまって、電話を切ってから欲しいものはパンツ以外聞かなかったことにミロはまた溜息を吐く。

「色気もなんもないな」
仕事が終わってミロはぶつぶつ言いながら男物の肌着売り場を歩いた。
まあ、適当にパンツかって、何か思い付いたら買おう。
それでもそれなりに選び出すと考える、肌触りがいいな、とか、色がいいな、とか、氷河が履いてたら笑うな、とか。
そんなことを思っていたら、キティちゃんだとか、キャラクターものが目に入って、変なのってこんな事かな? とミロはちょっと首を傾げた、ミロ的にはキャラクターものもありなんだけど。
何枚か肌触りのいい、色もいいな、と思ったものを買って、ぷらっとショッピングモールを歩いたら、女性ものの下着コーナーの前を歩いて、ミロは立ち止まる。
ベビードール。
ああ、あんな感じなのか、ミロはそう言えばホワイトデーのお返しの番組でベビードール、とか男が言ってたっけ、と想い出して眺めた。
やりますって感じの下着だな、ミロが言えば、氷河がそうだね、と少し紅くなって頷いたのを想い出した、女と免疫がないもんな、と笑えば氷河が真顔で頷いた、お前着てみろよ、と言うと、さすがに氷河が怒った。
「僕、女の子じゃない!」
ああ、変なのってこれか、とミロが思った所に、店員がやって来た。
「プレゼントですか?」
「ん? と思ったけど一緒に来るよ」
話し掛けるくらいたって眺めてたのか、とミロは思うが、軽蔑されようが知った事じゃないし、挙動不審になる理由もない、珍しいから眺めてただけだし。
背中で女性店員たちが、やっぱり彼女いるのね、と残念そうに話してる事なんてミロは知らない、そんな事より氷河にホントに買って帰ったら、とちょっと考える。
別に着てみて欲しいわけじゃなくて、冗談でも買って帰ったら口もきいてくれそうにないな、とミロはだんだん解ってきた氷河のことを思う。
だんだん解って来たと言ったって、何を解ったって言うんだろう?
ミロはこうやって久しぶりに一人で歩いて氷河のものを探せば、氷河の好みも大して知らないことに気付いて、全然関係ないトイショップに入った。
氷河が本が好きなのは知ってる、コーヒーよりも紅茶が好きなのは知ってる、本が好きな事と、食べ物の好みはだいたい知ってる以外は、何にも知らない気がした。
柔らかい猫のぬいぐるみを手に取って、手足を動かしてみる。
青い瞳は、あいつみたい。
そんなことを思って少し笑うと、隣の棚には、プラスティックの指輪があって、ミロはぎくり、とした。
逃げてるのは、自分。
ミロは猫のぬいぐるみを抱いたまま、プラスティックの指輪を手に取ってみた。
リングを買おうにも、指のサイズも知らない。
リングをくるりと回して、ミロはまた溜息を吐いた。

「ただいま」
ミロが帰ると、氷河はソファから顔を向けて笑った。
「お帰りなさい」
「ほら」
ミロが野菜の入った紙袋を渡せば、氷河は笑う。
「良かった、今日ハンバーグ作ったら玉ねぎなくなったから。あれ? りんご?」
氷河は紙袋の中身をテーヴルに並べて、嬉しそうに笑う。
食べ物だったら、果物位しか思いつかなかった。
「こっちが、普通のパンツ」
氷河がちょっと警戒したのが解ってミロは笑った。
「ちゃんと普通のだって、ベビードールと掛かって来るんじゃないかとか思ったんだろう?」
氷河は言い当てられた表情を見せて、頷いた。
「買ってこようかと思ったけど、口もきかなくなりそうだったからやめた」
ミロが笑えば、氷河は当たり前だとでも言いたげに軽くミロを睨んだ。
「キティちゃんとかだったら?」
「何ともないよ?」
けろりと答える氷河に、ミロは許容範囲か、とふーん、と笑いながら頷いて、真顔でパンツを確かめる氷河に苦笑した。
「あ、すごい肌触りがいい」
笑う氷河を少し見詰めて、ミロは氷河の背後に回ってチェーンを氷河の首に回す。
「何?」
ひやりとした感触に、氷河が首を竦めた。
ミロは片方の手でチェーンを持って、片方の手で氷河の髪を束ねておろす。
氷河は指をひっかけてみて、ネックレスだと気付く。
「リングはサイズが解らなかったから週末出掛けた時かってやる」
ミロは氷河と瞳を合わせずにジャケットをぬぎにクローゼットへ向かった。

夕飯もミロは一言も口をきかず、シャワーも一人でさっさと浴びてしまって、ベッドに入っても背中を向けるから、氷河も黙っていたけれど、ミロが口をきいてくれない理由が思いつかないから、ミロの背中越しにミロの顔を覗き込んでいった。
「ミロ、リング、買わなくてもいいよ……? 週末なら、ミロが出掛けたい所でいいよ……?」
他に想い付かないからそう言う氷河に、ミロは溜息を吐いて身体の向きを変えて氷河を抱き寄せる。
しゃらん、しゃらん、とネックレスが鈴のような音を出す。
「鈍い」
ミロがぼやけば、氷河が不思議そうにミロを見詰めた。
「ミロ、しないの?」
「お前ね」
ミロは軽く顔をしかめて、氷河に噛みつくようにキスをして、氷河をベッドに押さえつけた。

スポンサーサイト

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 
 

トラックバックトラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。